試験独学のためのテキスト・参考書・問題集のご紹介
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公会計革命 (講談社現代新書)
桜内 文城
講談社 刊
発売日 2004-10-19
素朴でラジカルな仕事に共感します 2005-12-21
ここ数年、先進的な地方公共団体では、制度上の現金主義会計だけでなく発生主義会計による財務諸表の作成が試みられています。関心のあるテーマだったので、本書以前にも公会計に関する文献は何冊か読みましたが、理論の整合性に納得できない部分(税収を「収益」と見做す考え方)が多々残っていました。
私は、情報システムのコンサルティング、設計・開発に関する仕事を通じて、これまで、複式簿記、ERPといった企業会計の世界と、官公庁の現金主義会計の世界を両方見てきました。そのため、企業会計の考え方をそのまま公会計にあてはめることの難しさは理解できました。
本書は、まさにこれまで感じてきた疑問に回答してくれるものでした。新書版ですが、内容は多岐にわたり、非常に密度の濃い一冊です。
会計主体である官公庁が、誰に対して情報開示義務(アカウンタビリティ)を負うかという法的視点から説き起こし、まず、税収を「収益」ではなく納税者持分である「資本」と位置づけ、次に、企業会計にはない「処分・蓄積勘定」を加えた公会計独自の勘定連絡を組立てることで、納得のいく論理整合性となっています。
更に、著者の仕事について、2点特記しておきます。1つ目は、机上の論理に留まらない実践的な姿勢です。数千本におよぶ公会計独自の仕訳パターンを作成し、これを「エンジン」とする情報システム「国ナビ」を開発したことです。同じ仕事に携わる者として、この成果の今後の展開が楽しみです。そして2つ目は、世代間における受益と負担の関係を健全化し、現役世代の「つけ」を子供たちの時代に先送りしないために、どのような仕組が必要かという真摯な問いかけです。
著者の今後の仕事に注目していきたい。
公会計はどうあるべきかを原点にかえって主張 2005-05-02
政府や自治体の会計は、一般の企業会計と区別して公会計と呼ばれている。本書は、題名を「公会計革命 国ナビが変える日本の財政戦略」としているように、現状の公会計(単式簿記的な会計)ともNPM的な考え方に基づく取り組み(企業会計的に貸借対照表や損益計算書を作成)とも異なる新たな考え方のもとに開発した「国ナビ(国家財政ナビゲーションシステム)」の紹介と、その基礎となった考え方を記述している。
会計技術の記述というよりは、現在の会計方法の問題点を記述し、どうあるべきかの理念を提示している本であり、会計に直接の関心がない人でも読む価値がある。
新書の体裁であるが、しっかりと書き込まれているので読み応えがある。反面、気軽な興味本位の人にはシンドイ内容かも。
国の財政状況をワンシートで示す試み 2005-03-04
国の財政の話というのは、話が大きすぎて、予算の時期に関連する新聞記事を読む程度で普段は考えもしない。
しかし、国の財政の全体像が分かっていないのは、自分だけではないとこの本を読んで思った。会計制度がそうなっていないからだ。
首相が財務省に予算編成を丸投げしなければならないだけでなく、すべてを牛耳っているつもりの財務官僚も実は増分部分やシーリング枠などの周辺部分や総論しかみることはできない。与党議員も枝葉の議論しかできないし、野党に至ってはないものねだりばかり。これって、結構不幸な状況だと思う。
筆者の提案する「国ナビ」がこのような状況をすべて解決できるものかどうかは分からないが、国の財政状況を世代間の負担やストック・フローなどを含めてワンシートで示すという提案は実現するのであれば十分に魅力的だ。シンプルイズベスト。複雑な問題を分かりやすく示すというだけでも賛成できる。
さらに詳しい情報はコチラ≫
桜内 文城
講談社 刊
発売日 2004-10-19
素朴でラジカルな仕事に共感します 2005-12-21
ここ数年、先進的な地方公共団体では、制度上の現金主義会計だけでなく発生主義会計による財務諸表の作成が試みられています。関心のあるテーマだったので、本書以前にも公会計に関する文献は何冊か読みましたが、理論の整合性に納得できない部分(税収を「収益」と見做す考え方)が多々残っていました。
私は、情報システムのコンサルティング、設計・開発に関する仕事を通じて、これまで、複式簿記、ERPといった企業会計の世界と、官公庁の現金主義会計の世界を両方見てきました。そのため、企業会計の考え方をそのまま公会計にあてはめることの難しさは理解できました。
本書は、まさにこれまで感じてきた疑問に回答してくれるものでした。新書版ですが、内容は多岐にわたり、非常に密度の濃い一冊です。
会計主体である官公庁が、誰に対して情報開示義務(アカウンタビリティ)を負うかという法的視点から説き起こし、まず、税収を「収益」ではなく納税者持分である「資本」と位置づけ、次に、企業会計にはない「処分・蓄積勘定」を加えた公会計独自の勘定連絡を組立てることで、納得のいく論理整合性となっています。
更に、著者の仕事について、2点特記しておきます。1つ目は、机上の論理に留まらない実践的な姿勢です。数千本におよぶ公会計独自の仕訳パターンを作成し、これを「エンジン」とする情報システム「国ナビ」を開発したことです。同じ仕事に携わる者として、この成果の今後の展開が楽しみです。そして2つ目は、世代間における受益と負担の関係を健全化し、現役世代の「つけ」を子供たちの時代に先送りしないために、どのような仕組が必要かという真摯な問いかけです。
著者の今後の仕事に注目していきたい。
公会計はどうあるべきかを原点にかえって主張 2005-05-02
政府や自治体の会計は、一般の企業会計と区別して公会計と呼ばれている。本書は、題名を「公会計革命 国ナビが変える日本の財政戦略」としているように、現状の公会計(単式簿記的な会計)ともNPM的な考え方に基づく取り組み(企業会計的に貸借対照表や損益計算書を作成)とも異なる新たな考え方のもとに開発した「国ナビ(国家財政ナビゲーションシステム)」の紹介と、その基礎となった考え方を記述している。
会計技術の記述というよりは、現在の会計方法の問題点を記述し、どうあるべきかの理念を提示している本であり、会計に直接の関心がない人でも読む価値がある。
新書の体裁であるが、しっかりと書き込まれているので読み応えがある。反面、気軽な興味本位の人にはシンドイ内容かも。
国の財政状況をワンシートで示す試み 2005-03-04
国の財政の話というのは、話が大きすぎて、予算の時期に関連する新聞記事を読む程度で普段は考えもしない。
しかし、国の財政の全体像が分かっていないのは、自分だけではないとこの本を読んで思った。会計制度がそうなっていないからだ。
首相が財務省に予算編成を丸投げしなければならないだけでなく、すべてを牛耳っているつもりの財務官僚も実は増分部分やシーリング枠などの周辺部分や総論しかみることはできない。与党議員も枝葉の議論しかできないし、野党に至ってはないものねだりばかり。これって、結構不幸な状況だと思う。
筆者の提案する「国ナビ」がこのような状況をすべて解決できるものかどうかは分からないが、国の財政状況を世代間の負担やストック・フローなどを含めてワンシートで示すという提案は実現するのであれば十分に魅力的だ。シンプルイズベスト。複雑な問題を分かりやすく示すというだけでも賛成できる。
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