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南の島のたったひとりの会計士南の島のたったひとりの会計士
屋宮 久光
扶桑社 刊
発売日 2006-11-01




島尾敏雄再発見 2007-02-11
最近、会計もの、会計士ものの本を良く読む。仕事柄、興味をたやすことはなかったが、エンロン、西武鉄道、ライブドアと大きな事件が続いている世界と、この本の世界が、同じ時代の、同じ種類の職業人がかかわっていることに、なんとも奇妙なものを感じる。

ただ、むしろ、世界の99%は、この本の世界と同じ世界を雁行していると思う。

私のなかで、さおだけ屋でブレイクした山田真哉、美ぼうの須藤実和につづいて、スター会計士の誕生である。

ところで、この本の中で最も印象に残ったのは、会計とは特に縁のない島尾敏雄のエピソードであった。太平洋戦争末期、奄美に赴任した島尾は、その行動で島の人々の畏敬を集め、ネリヤカナヤ(海の向こうの神の国)から来た化身のように思われていたという。難しい超現実主義的な作品しかしらなかったので、意外であり、久しぶりに日本文学をになった人々の奥の深さを感じた。

挑むことは偉大だ 2007-01-27
15歳で故郷の奄美大島を離れ、苦労を重ねながら公認会計士となった。著者の屋宮久光さんは30歳を過ぎたころ父親の死をきっかけに故郷奄美への思いを強くし、奄美へ帰ることを決心する。



故郷奄美を豊かにしたいという思いを携えてタイトル通り、「ひとり」で挑むわけだ。国の補助に頼った島を国から自立させたい。



しかしなかなかうまくいかない。



屋宮氏の思いと島の人の思いが同じ方向に向いていないのだ。



挑む、ということは偉大だと思う。とくにそれが一人であったりするとき。



なかなかうまくいかないことが好転しはじめるきっかけは、ひとりであると思っていたが「ひとり」ではないことに気がついたとき、その賛同者に気付きありがたいと思い始めたときなのではないだろうか。

小説のような本当の話で、一晩で読了! 2006-12-10
 自慢話のような本かなぁとおもいながら、夜寝る前に数頁のつもりで読み始めました。そしてそのまま一気に読み切ってしまいました。

 面白い!

 何が面白いかというと、著者が、自分の生まれ育った島の人々に苛立ちながら、もがき苦しみ、試行錯誤の結果、一足飛びに島の人を変えようとするのではなく、まず自分を変える。そしてこの本の最後では島の人と一つになって嵐の夜、一つの作業を完成させるという、著者の変化の過程が赤裸々に書かれていた点です。



 目に見えないサービスに相談料を払おうとしない人。国からのお金をあてにする態度に苛立ち、やがては自身もアルコール中毒になってしまう。

 しかし自分も落ちるところまで落ちたと、立ち上がり、単に不適切な点を指摘するだけのアドバイスでは不十分だったのではないかと思い至り、「クリエイティブ」な相談業務を模索していく著者。ビジネス書等の読書にのめり込み思索は早朝のジョギング時に行う。

 なんだかんだいいながら、最初から最後まで、島や島の人々に対する著者の愛情が貫かれている点で心温まる小説を読み終えたような読了感でした。

 出来れば島の地図などを入れて欲しかったと思います。この点編集に対する不満から★一つ減らしました。



 


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